テセウスの船

ジタンの空箱を開けると

フェルミ粒子とボース粒子が

仲良く並んでいた

よくみると

メトロノームのタイミングより

遅れて振動していた

白い朝が眩しい

テセウスの船に乗って

一人悦にいる

ところがオーラの喪失を感じて

同一性の困難に突き当った

自分にとって

価値を見出すことのできる

ものであれば

その場所から

その物理的実在がなくなっても

観念的に脳内にある記憶が

実在を想起させて

同一性を保持するだろう

青空を仰ぎ見たばかりに

ある種の感情が顕在化したようだ