エスプレッソな気分

君はよく

エスプレッソを頼んでいたっけ

 

エスプレッソな気分って

どんなだろう

いつもそう思ってた

知らないままでいる方が

魅力があるような気がしていた

 

「半分ほどの大きさのカップが

わたしにはお似合い。幸せの量と同じね」

そんなこと言ってたっけ

 

カップを支える

人差し指と親指だけが

暖かくなって

不釣り合いな指のぬくもりに

微笑んで溜息をついた

 

すぐに飲み干して

窓の外を眺めると

「さっ、行こうよ」

そう急かして

図書館へ向かった

 

君の近くにいるときはいつも

エスプレッソの香りがしていた

 

「わたし、イタリアに留学するわ」

相談もなく、決め打ち

 

時折、エスプレッソを頼んで

あの頃の、君の気分を

考えてみることがあるけれど

やっぱり、わからない

 

フィレンツェに住む

君の部屋に行けば

教えてくれるのかい?