分水嶺

声を出しながら本を読んでいた。

本の世界に浸りながら

一方で

頭に全く別の映像が浮かび

その映像の中で

このグラスはチェコの物か

バカラの物かと

どこかの女性と議論している。

ふと我に返って、

声を出しながら本を読んでいる

自分に気付いた。

まるで本を読んでいるのに

同時に夢を見ていた。

レム睡眠の状態で

読書をしているような経験だった。

初めての出来事だった。

現実といっていい

声を出して本を読んでいる最中に、

夢といっていい

ガラスのグラス談義をしていたなんて

夢かうつつか、とはよく言ったものだ

意識と無意識の境界線を歩いているような

不思議な状態に出くわした