三十分間の夏休み

遠距離恋愛の二人は

二人だけの夏休みが欲しかった

 

待ち合わせの駅のホームで

途中下車して

あなたを待った

 

寝不足の笑顔に はにかみながら

手に触れて 列車に乗り込んだ

 

二人で座って 手を握りしめ

肩のぬくもりで 話をしながら

窓の外を眺めた

 

乗り換えて 立ちすくんだまま

見つめ合って キスをした

 

ぬくもりが 本物であることを

確かめ合った

 

一人はまた 途中下車

一人は仕事で 目的地へ

 

閉まろうとするドア

発車する列車の動き

止められはしない

 

三十分間の出来事は

二人にしか、わからない