上野橋

上野橋からの眺めは

いつも寂しい

 

川上に向かって

息を吹きかけると

低い山々が

緑のつやを失って

霧に巻かれて消えてしまう

 

川下に向かって

あくびをすると

広い川幅が

想い出を背負い込んで

たたずんでいる

 

川が流れていることを

いつの間にか

忘れてしまう

 

上野橋からの眺めは

想い出が身を投げて

たどり着いた川辺で

起こした

たき火から

こぼれ落ちる

煙のようにかすんで

目頭ににじんでいく