京、三千院、夏の想い出

凛とした白木の想いに翳りなく

風は通り過ぎる

 

漆黒の枝分かれを

葉の緑がやさしく見守り

白い空を見上げる

緑と黒と白が

手を差し延べ合いながら

自然の成り立ちを説いている

 

諸人の声がそこにこだましても

自然はただ、笑っているだけ

涼しい風は山の香りと

川のせせらぎを運び

白木の想いにそっと伝えている

 

木々の間から漏れる風のゆくえを

瞬きもせずに眺める瞳には

受け止めるものは存在せず

見えないものが見え、

心の有り様は

景色の中に溶けゆく

 

深呼吸の中で

おだやかな感性が

触診を繰り返していく

 

水の流れる音

蝉の鳴き声

風の雅