出生届

そんなにたくさん

言いたいことがあるだろうか

 

一言かもしれない

 

ワンフレーズで伝えることが

できるかもしれないのに

無理矢理 話を引き延ばしてみても

仕方がない

 

感情に物語性があるとは限らない

 

感情は一瞬の出来事

そういうことだってある

 

論理的に話をしたいのではなく

その時々に思いついたことを

さらっと言葉にしたいだけ

 

たとえば詩は

ひとときの感情の塊

 

次の日には

書いたことすら忘れている

 

誰が書いたのだろうと思ったら

自分だったりする

 

その瞬間の自分は

もう別の何処かに漂っている

 

別の自分がまた別の詩を書いている

 

また忘れてしまうのだろう

 

同じ感情を持ち続けていたら

新しい自分が重くてしょうがない

 

刻々と言葉が誕生するたびごとに

わたくしも生まれ変わっている

 

古い皮を脱ぎ捨てて

脱皮するために

詩を書いているのかもしれない

 

詩は生まれ変わったことを

証明するための

出生届のようなもの

 

僕は毎日、

出生届を書いているのだろうか

 

詩は

自分自身の

現実の有り様や

非現実の有り様を

書き留めた

出生届

 

役所では受理されない

非公式な自分自身