初戀

あの橋のところまで

待ち合わせの時間に

間に合うように、早足で歩く

 

橋に近づいてくる君と、橋に立つ僕

小さく手を振ってくれる君

カバンで挨拶する僕

 

待ち合わせの時間なんて

本当は、なかったけど

通り過ぎる偶然を装うだけの

放課後のひととき

 

小さく振ってくれる手を

見るだけで

僕には十分だった

 

直接話しかける勇気は無く

交換日記で君の書いた文字を

目で追いかけるのが精一杯

 

続かなかった。

言葉を恨んだ。

 

さよなら、

手をつないで帰りたかったよ、って

 

通り過ぎる偶然に、小さくなる君

待ち合わせの時間を想うだけの僕