架空の産業廃棄物処理工場

冷蔵庫の中で

順番を待っている黒い液体

 

コップに入れられて

うえからラップを

かけられた

黒い液体

 

古いものは前

新しいものは後ろ

コンビニの陳列棚と同じだ

 

さめたホットコーヒーの残りが

冬場のアイスコーヒーの代用品

 

冷蔵庫の上の方の棚に

整然と並ぶ

黒い液体工場は

架空の産業廃棄物処理工場と名付けている

 

4本以上並べられたとき、

映画のワンシーンで見た

産業廃棄物の倉庫を思い出した

精巧に作られたドラム缶に

銃声が鳴り響き

中に隠された黒い液体が

何重にもあふれ出していた

あのシーン

 

黒い液体はいつも語りかけてくる

アイスコーヒーが飲みたければ

ここから私を解放しなさい

さもなければ、

自分で作りなさい、と。

 

順番を待つ黒い液体の入った

コップを取り出し

ラップを開けて

氷を入れた別の容器に移す

 

それを持って

書斎に戻り、飲む

ちびちびと

氷が溶けてなくなるまで

 

この黒い液体を飲むのは

産業廃棄物への、エコ活動

 

そんな気持ちで

飲み干すと

悪い気はしない・・・