森のカラス 〜一枚の絵画より〜

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一羽のカラスが

見つめていた

考え込んでいた

深く深く

 

緑色の霧に包まれて

ひと鳴きもせず

自分の心の内側をのぞき込んでいた

 

わたくしの孤独

わたくしの苦悩

わたくしの悲哀

 

表情も変えず

くちばしを鷲のように

勇ましくとがらせた

 

それでも世間などというものからは

縁起が悪いだの

利口でずるい生き物だのと

疎外されている

 

わたくしは利口であり

神の使いであり

孤独だが

自由であると

誇らしげに

あたりを眺め続けている

 

森のカラスは

勇ましさと悲哀と孤独が

混在してはいるが

思慮深く

羽ばたいていこうと

覚悟を決めている

 

鷹や鷲よりも堂々と

羽を広げて

飛んでいくのだろう

 

森の中に一人たたずむカラスは

無意識に描かれた

自画像であるのかもしれない