無能化するシステムへの提言

「先生の顔を見ないと、心が風邪を引きそうです」

患者様からいただいた最高の褒め言葉です。

 

ピーターの法則って

聞いたことがあるでしょうか

 

昇進したとたん

無能化してしまう上司の存在が

階層社会ではありがちな現象

 

階層社会では

人々は昇進を重ねて

各々の無能レベルに到達することがあると

考えられています

 

想像するに、

地位に満足して

精進することを止めて

しまうからでしょうか

 

ビジネスの世界ならともかく

医療の世界にもそういうことを

耳にすることがあります

 

大きな病院でも

診療科の体制が変わると

活性化して

みんなが拠り所にする診療科と

だんだん

働く医師たちの求心力を失って

縮小化してしまい

あそこでは

十分な医療を受けられないと

信用を失っていく診療科があるのです

 

活性化していくシステム

無能化していくシステム

そう、対比できるでしょうか

システム・エラーに気づけば

いくらでも改善の余地があるものです

 

開業医の立場としてみれば

そのような診療科の、病院へは

大切な患者様を

自信を持って

紹介することが出来ません

 

同じ病院でも別の診療科には

自信を持って紹介することが

出来るにもかかわらず、です

 

非常に心苦しいことですが

そんな病院が

実際にいくつかあります

 

病態の経過への探究心は、

(当たり前のことですが)

臨床医が最も失ってはいけないこと

入院患者様を十分な健康状態に

回復するまで責任を持つのが

本来のあるべき状況です

 

入院患者様の担当医は

外来フォローになっても

十分な回復を見届けるまでは

手放してしまってはいけない

わたくしは、常々、

そう考え、そう指導され、

勤務医をしていました

 

大きな病院に入院していた

にもかかわらず

十分な病態経過の整理もなく

患者様の立場からすれば

まだ、いつもの状態ではないと

感じていても

根拠のないハッピーエンドを

医師から突きつけられて

受診するたびごとに違う医者が

違うことを言うそうです

 

何を信頼すればいいのか、わからない

「先生、どう思われますか?」と

わたくしのような町医者に

助けを求めて来院される患者様が

実際に、何人も、いらっしゃいます

もちろん、わたくしがその病院に

ご紹介したわけではありません

 

全力投球する

町医者であっても。

 

この二年半で、

わたくし一人で二万人以上の

患者様を診てきました

 

患者様のために

自分に出来ることを

精一杯する、

それだけです

 

それにしても、

いったいそういう病院は

どういうシステムを

取っているのでしょう

残念でならないのです

 

決して批判するのではなく

あくまでも

主治医責任制への

システム改善の配慮を

提言するのみです

 

しかしながら、近々

憤りの限界を超えてしまい、

わたくしの心の根底には

より良き状況を

祈るような気持ちが芽生えて

悲しくなります

 

医者なら

いくら上級医になっても

患者様に対する責任を

果たし続けることが当然です

上級医の判断が一番正しいと

上級医自身が考えてしまうのは

独善と自己満足でしかありません。

 

謙虚に、絶えず自分のしていることが

患者様の役に立っているのか、

日日の最新医療情報を学び続けているか

等々、自分の無力さへの反省の繰り返しが

謙虚さと患者様からの信頼につながる

唯一の道と考え、自分自身も

形だけの学会参加などでは十分とせず

さまざまな媒体を通しての自己研鑽を

怠らないようにしています。

 

ピーターの法則が

当てはまってはいけない世界

それが医療の世界

それが臨床医の世界

 

最近の患者様方から受けた相談の

代弁と私見の付加にすぎないのですが、

みなさんは、どう思われるでしょうか