陽炎(かげろう)の向こう側

記憶の中に
陽炎を見たことが
あるような気がします

記憶の中に
あなたのよそ行き姿は
浮かんでこないのです

よそ行き姿のあなたに
出会ったこともなく
わたくしのためだけにと
めかし込んだ装いを
目にしたこともありません

何かを
プレゼントしても
よそ行き姿に
身に付けた
アクセサリーの輝きを
見る機会もないのでしょう

きっと
記憶の中にある
陽炎の向こう側に
あなたは
歩いているのかも
しれません