Just Like Cigarettes After …
色褪せてゆく追憶
・
女の背中を眺めながら
ある晴れた夏の午後を思い出す
・
木陰のベンチに座る女
それを膝枕にして寝そべる俺
透明な風が通り過ぎて行った
・
若い勇気は恥じらいを知らず
若い理性は広い世界を夢をみ
若い情熱は女しか見えなかった
・
ひとつ心が近づいて
ひとつ心が遠ざかる
・
愛は破天荒に生まれ、壊れて
そして再び新しい愛が訪れる
・
真実の愛に巡り合おうと迷走し
目の前にある愛がそれなのかどうか
知る術もなかった
・
愛が俺にくれたのは
束の間の温もりと
居心地のいい風の囁き
様々な愛が
若い俺を育ててくれていたのだろう
・
愛はそよ風のように
俺を包み込み
愛は激しい嵐のように
俺を混沌の中へ蹴落とし
愛はさざ波に紛れた
小さな渦のように
俺を満ち引きに誘い込んだ
・
無鉄砲な若い愛の記憶を
振り返りながら
いずれはそれも忘却の彼方に去り
俺は彷徨い続けるのだろう
・
愛は瞬きを3度繰り返すうちに
消えてしまう儚い夢物語
ウスバカゲロウのように
慎ましく美しい