光と影

からのまま置き去り

飲み干したグラス

 

場末のカウンター

無機質なパトス

 

グラスの余韻

その影が呼吸を続けている

 

おだやかな

賑わいを包み込んで

グラスを支えていた

 

緩やかな軌跡を描きながら

感傷が流れ落ちる

影の形が変わる

 

グラスの涙を

影が指でなぞっている

 

人っ子ひとり

いなくなった後で

グラスの陰影が

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