童謡を歌う感傷

童謡を歌う

気持ちになりたい

 

それは幼少期への憧憬か

それとも

もの寂しさが生み出した

母性へのあこがれか

 

未分化な感情に

支配されながら

凹んだソファーを

指でなぞる

 

ポツンとした

一人っきりの空間には

ぽっかりと

穴のあいた気持ちが

力のないオーブとなって

消えていく様が

幾度となく

繰り返されている

 

弾んだ会話は

ひとりではできない

 

浮遊したオーブが

窓の隙間から

居場所を探している

 

ひざまくらに

童謡を歌う

感傷に憧れながら