真夜中の風
ずいぶん暖かくなってきた
ひっそりとした真夜中
少し窓を開けて
外気の涼しさを入れながら
本を読んでいた
部屋の明かりは消して
机の上だけの明かりで
活字に夢中になっていた
活字で描かれた物語
主人公が同じことをしている
部屋の明かりを消して
机の上だけの明かりで
読書をしているシーン
静まりかえった真夜中に
急にカーテンが揺れて
風がやって来た
カーテンの形の変化に身を借りて
風が話しかけてきた
「あなたの生きている世界と、
あなたが目で追っている活字の世界、
どっちが現実なの?」
そう言っただけで
カーテンの動きが止まった
答えを話す前に消えてしまった