街角サンゴ

摘落する雫は

夢の中の渦潮

青い世界に

ダイアモンドの

雨が注いでいる

幻惑と夢想の

混声に在るのは

瓦を伝わって

なだれ落ちる

仮想観念の雨

さすべき傘は

見当たらない

見知らぬ

オーディエンスが

無言で通り過ぎてゆく

微弱な風圧が

珊瑚礁の香りを放つ

風圧のコロンを

たたいて

街角へ紛れ込んでいく

雨が降っている

その中を漂っている

必要なものは

傘ではなく

感性の雫