灰かぶり
深い愛と浅い愛がありました
浅い愛は言葉上手で
見栄えの良い姿をしていました
深い愛は口下手で
見栄えのしない
目立たない姿をしていました
・
浅い愛はお化粧をしても
綺麗なドレスに着替えても
何も変わりませんでした
ひとは近寄ってきますが
すぐにどこかに行ってしまいます
浅い愛には
それが何故だか分かりませんでした
ずっと分からないままでした
・
深い愛はお化粧も綺麗なドレスも
持ち合わせていませんでした
だけど最愛の人から
二粒の小さな丸い石ころを
もらいました
・
とても珍しくて綺麗な石だからと
・
深い愛はとても喜びました
その二粒の石ころを
イアリングにしてみました
そして最愛の人を夢見ながら
深く眠りに落ちました
・
次の朝、
二粒の石ころのイアリングは
金色に輝いていました
深い愛はとても喜びました
・
でも本当は
深い愛にとっては
金色なんてどうでもよかったのです
・
自分のことを想い
プレゼントしてくれたそのことが
とても嬉しかったのです
・
深い愛にとって
石ころでも金色に輝く宝石でも
どちらでもよかったのです
・
ありがとう
感謝の気持ちが
深い愛には、ありましたから。