龍の年
海の上を歩いていたら
白い龍に出会った
螺旋状に身体を包まれ
気がつくと
緑色の入浴剤を入れた浴槽の中で
居眠りをしていた
小さな茶色い龍がふたつ
泳いでいた
突然の安堵感に包まれ
もう一度居眠りを始めた
気がつくと寝室のベッドの上だった
色のはっきりしない大きな龍が
天井をぐるぐる旋回していた
世事のことは
もうすっかり忘れてしまって
思い出せない
わたくしは眼を閉じた
夢の世界が訪れた
壁を跳躍する蜘蛛に出会った
無感情なそれを捕まえないように
追いかけた
その時考えていたのは
龍と蜘蛛と八咫烏のことだった