会話のない対話

まだレントゲン写真を

シャーカステンに

貼り付けて見ていた頃

自分の胸部レントゲンを

眺めたことがあった

病変がないことを

確認した後

不思議な感覚が

脳を刺激した

初めて目にした

過去の自分が

そこにいる

頭頸部のMRIを

見た時も同じ感覚だった

スライス状に断面化された

自分を束ねると

三次元の形に戻っていく

時制と次元によって

固定化された自分

それを見て思考する自分

どちらが本当の自分だろう

一人称の自分と

二人称の自分が

対話をする