冬の音
冬の音が聞こえる
枯れ葉が地面を引きずって
どこか遠くへ去ってゆく
・
冬の音が聞こえる
冷たい雨がしょんぼりして
アスファルトの隙間に入り込み
凍ってひび割れてゆく空想
・
冬の音が聞こえる
積もった雪が屋根から落ちて
粉々に散らばって妖精になる
・
冬の音が聞こえる
灰白色の空を雲が動いて
くしゃみをする
・
音は人間が創り出す
あるいは自然が創り出す
鐘の音だろうか
厳粛なる透明性を伝え響く
無意識のかなでを目指す
・
なんということだろう
冬枯れの寒さに
人は耳を塞ぎ
外界の音を遮断してしまう
・
そして
冬の音はいつしか幻想となる