小休止のひととき

部屋のあかりを消し

熱帯魚の泳ぐ水槽の

ライトだけにして

ロッキングチェアーを

揺らしながら

メローな曲に意識を傾ける

そうしながら

ぼんやり何かを考えていた

何を考えていたんだろう

記憶にはひとかけらも

残っていない

しかしながら

自分をよく知る身としては

抽象的なことに

思い巡らせていたに違いない

めぐりあいの偶然と必然性

愛、一握りの儚さ

生きていることの神秘

癒しを導く湯けむりの香り

流れ星への意味づけ

無限とも思える

DNAの二重螺旋を

一歩一歩登りながら

無意識の領域に到達して

思い返してみた

遺伝子レヴェルでさえ

ふたつの鎖が仲良く相補し

生命の安定を保っている

生物の最小単位は細胞であっても

人間の最小単位はふたりではないか

そんなことを考えて

意識の片隅を逍遥していたのだろう