最期の場面のメッセージ

時折、考えることがある。

見た目にも生身の人間と

何ら変わりのない

アンドロイドが誕生したら

誰にも迷惑をかけないように

アンドロイドと共に暮らそう

ただし、

僕が選ぶアンドロイドは

ブラックジャックの助手ピノコ

外観は漫画に出てくる通りのもの

最期の時が来たら

「さよならの向こう側」を

歌ってもらおう

わたくしの

医師としての生き様と

詩人あるいは作家としての歩みを

走馬灯のように振り返りながら

涙を流してもらおう

わたくしの中にある善と悪を

天秤にかけて

立派な人生だったと

話してもらおう

そして15分後に

スイッチが切れて

機械のリミットも終了するよう

プログラムしておこう

アンドロイドは

裏切ることもなく

感情を逆撫ですることもなく

わたくしの最善と最適を

常に考えて行動する

最期にわたくしは

こう言うだろう

「人間など信用するに足りぬ存在

君は最高のアンドロイドだったよ」

とはいえ、

どれほど強がってみたところで、

そんなことは言わせないと

自信ありげな人間が

わたくしのそばにいてくれることを

本当は夢見ている

本心は、人間がいい。

なぜなら

わたくしは人間であるから。

「人間も、まんざらではない」

そう、言って、終わりたい。