マホガニーの色彩

木目の美しさの上に手を置いて

丁寧に指でなぞってみる

時代の深さに似た赤褐色の

色合いに溺れているうちに

赤のリップがそよかぜに吹かれて

僕の頬に辿り着く

マホガニーの色調には

悲しみの回想を揺り動かすのではなく

真夏日のうだるような疲労感を

打ち消して目を覚ます時の

額の汗を拭い取る

心地よいタオル的触感が

見え隠れする

マホガニーな朝の証は

頬に残された赤いリップのそよかぜ

そよかぜはどこに辿り着くのだろう