老いるということ

年老いれば

形骸化されていく

発信力が弱まり

自分の思い出話ばかり

周囲の新しいことには

関心が薄まってゆき

同じ空間を占拠する

仲間というよりも

時折音に反応して喋り出す

感情を持った柔らかい小動物

寿命のタイムリミットに

近づけば近づくほど

誰しもがたどるプロセス

道なき道を進んで

行き着く先は

決して未知の世界ではなく

あらかじめ了解可能な筋道を

たどって行く

年老いれば形骸化され

それでも残した言葉は

まだ鮮明に生きている者の

内的指針となって

色褪せることはない

形骸化は近似値的死を

意味するものかもしれないが

それでも子供のように

大切な存在として

寄り添う気持ちを堅持するのが

人を敬うということだろう