木漏れ日に気づく瞬間

塩をかけられたナメクジのようだ

浸透圧の誘惑に駆られて

溶解して徐々に溶けてゆく

テロメアの長さが随分短くなり

あと何回くらい細胞分裂を

繰り返すことができるのだろう

エイジングの気概というものは

そういうものかもしれない

あと何回、吸気と呼気を繰り返し

あと何回、心拍を重ね

あと何回、食事をし

あと何回、あなたと時間を

共有できるのだろう

あと何回、珈琲を飲み

あと何回、朝日を見るのだろう

そういうことを全て忘れ去り

一つのことに酔いしれる時間が

あったならば、生きている実感を

リアルに感じていられるだろう

木漏れ日に気づいた時の

安らかなるひととき

自然の罠に捕囚されて眠りたい