薄木漏れ日

ひとすじの

薄木漏れ日

 

どうして薄いんだろう

 

頬杖ついて

ぼんやりしている

森の中

 

切り株のテーブルで

食べるサンドイッチ

 

用心深いリスは

近づいてこない

 

熱いコーヒーを飲むと

めがねが曇ってしまう

 

薄木漏れ日に紛れて

蘇芳色の小鳥が

こちらを見ている

 

蘇芳色は

わたくしの

コーヒーカップにとまって

一口飲んで

飛んでいった

 

薄木漏れ日のなかに

飛んでいった

 

赤く、赤く

 

わたくしの記憶には

小鳥の鳴き声が

残っていない

 

ひとすじの

薄木漏れ日の中に

置き去りにしてきたのだろうか