バリアフリー

医学部の6年生

ちょうど整形外科の

実習の時だった

大学病院の敷地内を

一日中、車椅子で過ごした

バリアフリーになっていない

場所を探すために。

そして、

車椅子では移動できない場所を

レボートにまとめた

中には移動可能だが

目的地から目的地までの距離が長くて

車椅子を回す腕が疲れるなど

バリアフリーには移動距離も含まれることや

迷いやすい通路の設定の仕方まで

検討する必要があることが実感できた

意外と気づかない場所があり

病院サイドもそれをなくすように

環境改善の課題にされたようだ

病院がバリアフリーであるには

どのような要素を

どの程度考える必要があるのかを

学ぶ必要がある

移動距離が遠いだけでも、

バリアフリーとはいえない

昔働いていた病院で、

長い距離を毎日5往復したら

足底腱膜炎になって

靴の中に特殊シートを入れて

歩かなければいけないことがあった

病院のバリアフリー機能とは何か

それは

医療サイドの人間が

車椅子で1日生活すれば

すぐに浮かび上がる

抽出された問題点を

解決できない建築物であるのなら

特定機能病院とはいえないという

新たな評価基準を

設定するべきではないだろうか

真に

患者様の役にたつ

快適な病院とは

どのような環境であるべきか

多角的配慮をする能力のある

経営スタッフがいるのかいないのか

患者様の意見を取り入れ

ボトムアップで意見を募り

病院経営がなされるなら

いい病院だろう

しかし一見、

ボトムアップのシステムを

表面的に取り繕って

実はトップダウンで

現場で働く人間には

何も知らされないまま

経営的利潤主体の発想で

勝手に決めている病院は

いずれ、医師を含めて

医療スタッフの

大移動が始まるだろう

残念な話だが

民意は良心的な

バリアフリーの方向に

移動するという大前提を

配慮しなかった

予測可能な結末に過ぎない

患者様にとっての快適環境

医師の医療レヴェル

コメディカル・スタッフの

働きやすさとスキルの高さ

それらのバランスが

程よく整っていると

みんながハッピー

とっても耳の痛い話だ

学生時代は

真剣に取り組む姿勢でいると

大切なことを

たくさん学べる

それを思い出して、苦笑い。