不幸の手紙
そういえば昔、
不幸の手紙というものがあった。
突然、宛名のない葉書が
自宅のポストに投函される。
その葉書にはこう書いてある
「この葉書を受け取った人には
必ず不幸が訪れます。
ただし、
3日以内に10人に同じ文言で
葉書を出せば
あなたは救われるでしょう」
真に受けた人は、10人に葉書を出す。
それが延々続いていく。
いろいろなところで話題になっていた。
他人事だと思っていたら
なんと、不幸の手紙が自宅に届いた。
母親は、にっこり笑って
その葉書をぐしゃっと丸めて
ゴミ箱に投げ捨てた。
僕は心配したが、
母親はこう言った。
「世の中にはな、
こういう人がいる。
気にしてたら生きていられるかいな。
あんたな、
自分が不幸にならないために
他人さんを
不幸に巻き込んでいいと思うか?
そんなことすることの方が
耐えられへんわ」
なるほど、強い人だ。
いまだに頭が上がらない。