人間の証明
飲み干された後
ストローを差し込んだまま
置き去りにされた
プラスチック製のカップ
誰が飲み干したのだろう
どんよりした雲が吸い上げて
空っぽにしたのだろうか
少し風が吹けば
カップも空を飛び
ストローと別れを告げて
麦わら帽子のように
くるくると回転を重ねながら
遠くへ、遠くへと
見晴らしのいい景色の中に
消えてしまうのかもしれない
蓋をぶら下げたストローは
竹とんぼのように舞い上がり
いずれは地面に突き刺さって
独楽になる
もうしばらく
風が悪戯をしない時間を
ひとり悦に入って
虚構の戯れに
身を置いていよう