町医者のつぶやき

疲れたなあ

 

話す気にもなれないほど

そう感じることがある

 

人間だなあ

 

そんなときだけ

人間であることを実感する

 

患者さんの数が多いとか

少ないとか、そういうことでは

なくて、

 

自分の考えが

患者さんに伝わっていない

自分が最善と考えていることが

どういうわけか

いいかげんだと思われて

いくら説明しても

分かってもらえず

話が噛み合わないとき

僕だって、そんなときがある

 

もちろん、

町医者として

出来ることと出来ないことがある

検査器具がそろっていないし

入院してもらって

経過を見ることすらできない

 

すぐ総合病院を紹介して、

精査してもらいましょうといっても

家で様子を見ますといわれたり、

 

点滴したら治るから

点滴してくれと言われたり

そんな簡単なものじゃないんだ

 

患者さんに気に入られるために

医者という職業をしているわけではない

真剣に、いち早く、病気を治して

子どもや親御さんの

笑顔を取り戻すためなんだ

 

医者はそういうことを

言ってはいけないんだろうけど

僕は、裏表なしに、はっきりと言う

 

嫌われるのを覚悟して

大切な子どもの健康を守るため

親御さんにもしっかりと

考えてもらわないと

いけないことがあるから

 

うわべの付き合いではなく、

診察室に入ってくる子供達を

わが子と考えるところから

診察をスタートしているんだ

 

それが通じないことがある

 

それが疲労の

最大の理由かもしれない

 

やけ酒を飲んで

鬱憤を晴らすことが出来ない

 

酒、弱いから

 

You Tubeで

モルディブ気分とか

見聞きして

ぼーっとしている

 

綺麗な海はいいよね

波の音はいいよね

こんな所に

行ってみたいよね

 

アイスコーヒーのほうが

理性を保ったまま

酔っていられる

 

両手に花満載で

いつか、この面倒くさい

日本を抜け出してやる

 

そう、とでも

空想しないと

やってられないくらい

なぜか疲れている

 

青い海と波の音

 

太陽熱に溶かされて

砂浜に埋もれていく