雑踏の中で

白いライオンと出会った

 

彼は人を食ったりしない

 

途方もない歌声で

人の心に愛を届ける猛獣だ

 

白いライオンが歌い出すと

それを聞いた人間は

感極まって涙し

心の中に暖かい何かが

入り込んで来たことを

ありがたく思う

 

歌うために生まれてきた

白いライオン

 

人の心を暖めるために

やってきた白いライオン

 

出会った人は彼のことを

レジェンドと呼ぶだろう

 

白いライオンは歌い終わると

森の中へ姿を消した

 

またあのレジェンドに

逢えるだろうか

 

その日まで

人々は彼の歌を

心の中で口ずさみ続ける

 

白いライオンのことを

忘れない