「試験に出る」

以前、

看護学校の講師をしていた

 

小児看護学と解剖生理学

スライド300枚程度作っておいて

それを講義で説明する

 

日常診療をしながらの

合間でしか出来ないから

いつも4限目に予定を入れて

もらうようにしていた

 

4限目はみんな疲れている

だから、さぞ、眠いだろう

 

自分の学生時代を考えても、

そうだった

だから居眠っている学生もいた

 

起こすつもりもなく

「ここは試験に出ますよ。国試に。」

そう言うと、途端に目を覚まして

真剣な顔つきでこちらを向く

 

面白いので、あるとき

前後の話に何の脈絡もなく

「試験に出る」と

学生にとって大切な

キーワードを口にしてみた

 

すると罠を仕掛けたように

居眠り学生が目を覚ます

 

冬眠から目覚めたかのように

 

その時、

頭の中で連想していたのは

春に咲く桜の花だった

 

生命が息を吹き返すように

桜咲く=試験に出る

 

その言葉が響くのは

何となく、わかる気がした