『不死鳥伝説』 第2章 〜老〜
自らの誕生を能動的に遂げ、
姿を消したフェニックスは
〈老いた〉龍のもとに出現した
豊饒な河川のうねりの中で
悠久のドラゴンは、老いていた
もはや水の反乱を制御することなど
望めない
最後の力を振り絞って
人間のしでかした宝玉の呪いを
断ち切ろうと試み、水に沈んだ
しかし、宝玉は熱を持ったまま
河水を凍らせた
そのとき、
二つの羽衣が
西の空から音もなく現れた
透明な羽衣は、凍った河川を覆い
黄色の羽衣が、悠久のドラゴンの腕に
絡みついた
その瞬間、不知火が扇状に連なり
宝玉に突き刺さった
ドラゴンの眼から流れ出た紫色の液体が
透明な羽衣に色彩を与えると
氷解した河川は静かに流れ始めた
眼力と、研ぎ澄まされた爪の閃光とを
取り戻した悠久のドラゴンは、
龍神として蘇った
それでも、
頭上に浮かぶフェニックスの羽ばたきに
圧倒されていた
黄金光沢の舞
フェニックスは点となり、
星に融けた