ある少女の大切な思い出
女の子は
道端の出っ張った石につまずいて
膝に大きな傷を負った
親に怒られると思って
血みどろの膝を隠しながら
家に帰った
母親は、おおちゃく者の
女の子を叱った
しかし、父親は
女の子に案内させて
出っ張った石のある道端まで行った
父親はショベルを取り出して
その石を掘り起こした
案外、大きな石だった
父親はそれを抱えて
河原まで運び置いて
再び女の子と家に戻り
傷口に薬を塗ってやった
「どうして、石を掘り起こしたの?」
少女は聞いてみた
父親は
「あの石を
そのままにしておいたら
また他の子がつまずいて
けがをするかもしれないだろ」
そう言って
少女の膝を優しくなでた