ある老人の回想
ある老人が
回想している
ちょっと
髪の毛が薄くなってきた時
育毛剤を買ってきたらしい
トリセツを読むと
頭皮によく塗りつけて
指で丹念に
マッサージするように
書いてあった
老人はその通りにした
できるだけ早く
濃くなって欲しいと
たっぷり薬を頭皮に塗って
指で懸命に丹精込めて
マッサージしたそうな
次の朝目覚めて
鏡を見たが頭髪の密度は
あまり
代わり映えがなさそうだ
ため息をつく
ところが
両手指が
毛むくじゃらに
なっていた