あれは夏だったね

あれは夏だったね

つづら折りの山道を歩いたっけ

もう、歩けないよって

でも、顔が笑ってた

 

歩くのやめて寝そべった

帽子で顔を隠して

眠りかけたら

いきなり、歩こって

言ってたっけ

 

あれは夏だったんだよね

砂浜でずっと海を見ていた

足下まで届く波の満ち引き

いつまでも遠くを見ていた

水平線のずっと向こうまで

 

あれは熱い日だったよ

砂のついた手で

額の汗を拭おうとすると

潮風が冷ましてくれた

 

あれは夏だったね

山も海も

景色をすべて

二人占めしたっけね

 

秋も冬も春も

そして、来年の夏も

手を握りしめれば

二人のものだよね