おでんのお茶漬け
夕食がおでんだった次の朝
残った大根でお茶漬けを
食べていた母
仕事が忙しくて
食事に手間をかける
暇がない
それはわかっていたけれど
その風景は
切なくて、切なくて
なんだか、やり切れない
遠い面影
高校生の頃だったか
テレビで「おしん」という
ドラマが視聴率を上げていた
そのワンシーンで
おしんが、大根飯を食べていた
遙かな記憶が蘇って
いっそう切なくなった
おでんの大根を
お茶漬けで食べてみた
おいしいと、思えてくる
胃袋に かき込みながら
心の中であの朝の
母の姿を思い起こす回想は
だれにも気づかれない
この切なさは
だれにも気付かれることはない
あの母の切ない姿は
感謝の気持ちに変わっている
誰に対してでも誇りを持って
尊敬できる原風景
きらきら、
宝石よりも輝いている