合 鍵 (II)
長い黒髪をかきあげても
顔が半分隠れたまま
照れた微笑み
何かに急いでいるように
パジャマ姿のまま
歯を磨いている
テーブルの上の残骸
昨日の小さなパーティの
後片付け
いつの間にか
着替えて
身支度している
一つ溜息
靴を履く前に
戻ってきて
髪をなでた
扉が閉まり
郵便受けから
鍵を投げ入れる音がした
寝たふりをしながら
一部始終を見守っていた
あの鍵を投げ入れる音が
最後だった
ヒールが
コンクリートに打ち付けられ
哀しげなリズムが遠ざかっていく
そして、
聞こえなくなった