けなげさに、心が痛かったんだ
教室から眺めていた
廊下ですれ違った
階段を降りていった
小走りにバス停まで
急いでた
校舎の入り口にある
さび付いた銅像をみて
可哀想と言っていた
学食に売ってある
クロワッサンと
コーヒー牛乳
いつもそう、買っていた
風にそよいで
キラキラしていた黒髪が
制服をなでていた後ろ姿
数学の時間は
小さなあくびをしていた
こっそり内緒で
バイトしてたよね
店の前、何度も通り過ぎたけど
入れなかったんだ
偉いなって思ったけど
彼氏にセーター
プレゼントするため
だったんだね
だから、僕は今でも
セーターは着ないんだ