さまよいの街角で
キンモクセイの香り
だけど、キッと
赤い薔薇
少し近づくと
鋭い棘で
指先から血が流れる
棘はどうすれば
取れていくのだろう
キンモクセイの香りに
酔いしれていても
薔薇の棘は外せない
ウツボカズラの魔術のように
赤い薔薇のまま
生きているのが幸せなら
それはそれでいい
諦観しておこう
禁断の木の実をかじり
原罪を背負った
愚かな人間は追放されて
しあわせだけを
ながめていられるという
エデンの園に咲く
コスモス
ただ、風になびいて
微笑んでいる
それは
どこにあるのだろう
キンモクセイの中に
実在するかもしれないと
諦め悪く、探し続ける