たった一つ見える星

強い雨のなか

少し傘を上げて

滴落してくる雨に

皮膚を任せてみる

 

顔だけが濡れてゆく

 

いつしか傘は

何処かに消えて

ずぶ濡れになりながら

 

イヌとネコのけんかを

傍観している

 

愚かな自分に

愚かな自分が笑いかける

 

頭の中はイヌとネコ

 

 

急に雨が止んだ

 

自分の周りの

わずかな範囲だけ。

 

おどけたはぐれものに

傘を差し伸べてくれる人がいた

 

それは

曇天の強い雨の中でも

見ることが出来る

たった一つの星

 

うたかたに心が輝いた