なんにもなしの しあわせ

原始人なら、裸の日常

抱きしめ合って体温を分け合った

一緒にいる人のぬくもりで

寒さに命を奪われずに済んだ

 

ある時、道に迷った狩人が

独りぼっちになった

体温を分けてくれる人は

どこにもいない

そこで大きな葉っぱを

からだに巻いて温めた

 

真似するヤツが現れた

同じは嫌だ

葉っぱの色を変えてみた

頭や足にも巻き付けた

ほかにも他にも

同じことをするヤツが現れる

競争しても、少しも温かくない

もうたくさんと、脱ぎ捨てた

 

もう一度、もと居たみんなを

捜してみようと

走った、走った、走って走った

やっとの事で、たどり着いた

そうしたら、やっぱり、

一緒にいる人のぬくもりが

一番いいとわかった

何もないのに、幸せだった