まぐれ合格とおまけ合格
まぐれ合格の子がいた
好きでもない勉強を
強制されて
進学塾へ通わされて
あげくに
こなしきれないほどの
宿題にうんざりして
答えを写して行くだけの毎日
塾で先生に
しゃもじで頭をたたかれた
つい、一言
そんな環境は、健全に生きるには
不必要、すぐさま、やめなさい!
勉強って、そういうもんじゃない。
自由な毎日が始まって、
勉強以外のことを楽しんでやった
秋口になって、急に勉強を始めた
その気になって、勢いで合格してしまった
おまけ合格の子がいた
何せ要領が悪かった
他人と競争するのは嫌いで
人なつっこい性格と
いつも笑顔でいることが
かえって一部の同級生の反感を買って
いじめにも、あったことがある
ひたすら耐えていた
もし限界が来たら、
親はいつでも殴り込みに行く用意だけして
様子を見ていた
特に進学塾へ行くこともなく
学校の宿題をこなすのも
いやいや精一杯だった
定期テストの準備も
居眠ってばかりで
いつも間に合わず
受ける前から点数の予測がついた
つい、一言
目的地がないと迷子になるよ
目標がないと、やる気も起きないよ
君の目標は、一体何なの?
言われてみればそうだなあと
目標を持った
どうしても、ある高校に行きたい
自分で決めた
そしてあと三十日しかないのに
本気で勉強を始めた
たった一度しか受けたことがない
模擬テストの結果をにらんで
一ヶ月で偏差値二〇あげてやると
理科と数学はなんとか順調に進んだ
国語も解き方に気づいて
合格者の平均点程度は
得点できるようになった
英語も頑張った
しかし、社会は残り二週間で
ほとんど手つかずだった
一言、言ってやった。
模擬テストの結果なんて何の参考にも
ならないよ!
偏差値なんて、くそ食らえ
受験は情報処理のコンテストみたいなもんだ
インプットして、本番でアウトプットするだけだ
受験して合格するもしないも、
実は頭の善し悪しは、ほとんど関係ないよ
そして、
こんなたとえ話をした
カップ麺が百個あるとしよう
百個食べれば合格だ。
百日前から一個づつ毎日食べたひとは
簡単に百個食べられるだろう
あと十四日で百個食べるには
気分が悪くなっても当たり前くらいの覚悟が
必要だろうねえ
普通なら諦めるところだろうが
諦めなかった
おまけでもいいから合格したいと
多いときには一四時間も勉強した
居眠り一つせず
横から見ていて
勇ましいくらいの気迫だった
無理しすぎて、風邪まで引いたが
なんと入試までに全部終わらせてしまった
そして、合格
まぐれ合格
おまけ合格
と謙遜して
笑い話にするのだけれど
まぐれ合格にも
おまけ合格にも
それなりの
勝利の方程式があって
それを身に付ける努力をしたから
結果が出たんだろうね
「これから」を、自分の力で手にした
あなたがたは、すごい、と思う。