アメンボ

校庭の池を眺めて

タガメやタイコウチを

探していた

いるわけがない

それも知っていた

いればいいなあと考えていた

タガメやタイコウチがいたら

魚が食べられて

いなくなってしまうから

いないに決まっている

わかっているけど

ずっと探していた

そんな時

水面を優雅に泳いで

スーイ、スイと

アメンボが

目の前を通り過ぎていった

次の日から

アメンボを観察するために

校庭の池を眺めるようになった

スーイ、スイと

目の前を通り過ぎていくのを見て

何だかホッとしていた

本当は最初から

アメンボみたいのを

探していたのかもしれない