ゆく川の流れ

異空間にいるような錯覚

 

視界に入る事物が

オーロラを仰ぎ見る

うねりと幻想を呈している

 

身体の揺らぎでもなく

直視している周囲が

水面に映っているわけでもない

 

眼球運動による複視化が

起こっているわけでもない

 

統一性のない

判断の付かない事象が

なるほど遠いところで

起きている

 

イデオロギーの流れてこない

ゆったりとした

底までも見えるほどに

透明な渓流で

 

餌をつけずに

釣り糸を垂れている

老人の姿を視界に入れて

 

おなじように

餌もつけずに

釣り糸を垂れていよう

 

悠久の川の流れに

無為自然を

感じながら