サヨナラのわけは

あなたが星になったから

 

新聞紙の一面記事に

あなたが星になったと

書いてあった

 

ぼんやりした面影

肉声ははっきり出てこない

何となく歌っていた

鼻歌のワンフレーズが

どこからか流れ出てきて

そんな声だったような

気がするだけ

 

足音はかすかな記憶に

残っている

コツコツコツと

ピンヒールが

乾いたコンクリートの上を

遠ざかっていく音

 

サヨナラのわけは

あなたが星になったから

 

本当にそうだろうか

あなたが星にならなくても

サヨナラだったかもしれない

 

あなたとサヨナラしなければ

本当に好きなひとに

出会うことが出来なかった

 

いまの自分が自分じゃなかった

 

サヨナラ

切ないけれど

 

幸せを共有することは

出来なかったけれど

 

いまの自分が

いいと思っている

 

それで許してくれるよね

 

突然、星でいることをやめて

人間の姿で目の前に現れても

どうすることも出来ない

動じることもない

 

時計の針が何周も

何周も回って

しまったんだ

 

アリガトウ

サヨナラ

 

そのわけは

忘れることに

したんだ