アクア・ヴェール (Aqua Veil)

海辺をドライブしていた

 

一息入れるために

ある船着き場に立ち寄った

 

そこには

カモメが飛んでいた

 

手持ちのパンを

ちぎっては投げ上げていると

だんだん数が増えてきて

空が真っ黒になった

 

ロッジ風の

オープンカフェで

珈琲とクラブハウスサンドを

頼んだ

 

海の遠くを眺めていた

 

潮が吹き上がって

鯨が顔を出した

まるで水面をゆっくり剥がすように

何度も何度もその姿を現した

 

鯨は アクア・ヴェールを操る

優美なデザイナーを気取っていた

 

空はアクア・ヴェールの照り返しで

真っ青な衣装に替わっていた