アデュー
アデュー
その言葉を初めて知ったのは
17歳の時だった
・
ショパンの「別れの曲」を聞きながら
L’Adieuと書いてあるのを見た時だった
長い別れを告げる
あいさつの言葉らしいことが分かった
・
さようなら。
ごきげんよう。
恒久の別れの時に
アデューなんて言うのかな
そんなことを考えながら
流れる曲に耳を傾けて
いろいろな場面を想像していた
・
まず初めに思い出したのは
「ピエールとリュース」
ノーベル文学賞作家である
ロマン・ロランが書いた小説
戦時下のパリ。
地下鉄車内で出会った2人が
ドイツ軍の爆撃に遭遇し
とっさに手を握り
惹かれあってゆく
・
清純な恋愛と戦争の現実に
引き裂かれる二人が
窓ガラス越しにキスをする情景
・
アデュー
それは果てしない純粋さと
儚い別れを同時に持つ言葉