アリの大群

顔の上に

アリの大群が

覆い尽くしていた

 

それで目が覚めた。

 

いったい何を

運ぶつもりなんだろう

 

散歩しているだけだと

呟いたふうで

 

鼻腔を通り過ぎて

戻ってきたかと

想うと

 

耳の穴には

興味なさそうに

素通りして

指の先から、

 

消えていった。

 

黒い塊になって

飛んでった

 

(「詩と思想」2018.08. 選外佳作)